難聴の啓発について

難聴の啓発に関して、以下2つのテーマで講座を行っています。

テーマごとに、対象者に合わせてアレンジできます。

 

◆アニメで知ろう!難聴講座

◆聞こえづらくても話しやすくなる「プラス1コミュニケーション」

アニメで知ろう!難聴講座

難聴がわかるアニメ「なんちょうなんなん」を使った、難聴について、前向きに正しい知識を知ることができる講座です。

(アニメは3分程度の動画です)

 

人権講座や、難聴の人がいる学校や企業などで、難聴のことで、まずは知っておきたい正しい知識を知ることができます。


学校向け

法人向け

地域市民講座など


聞こえづらくても話しやすくなる「プラス1コミュニケーション」

難聴者の課題は、「コミュニケーションが取りづらい」ということに大きくは集約されます。

聞こえないことに配慮したコミュニケーションの取り方は、聞こえる人にとっては「面倒」だと思ってしまうことも多く、難聴者にとっても、あまり手を煩わせたくないという意識が働いてしまうことがあります。

 

そこで、小さな”寄り添い”を加えるだけで随分と話がしやすくなる「プラス1コミュニケーション」という手法をまとめました。

これを使える人が増えていけば、お互いに気兼ねなく会話ができることも増えていくはずです。

難聴者が周りにいる組織の方は、ぜひ、プラス1コミュニケーションを学んでいただけると有難いです!


学校向け

法人向け


難聴についての正しい理解が圧倒的に足りず、誤解が拡がっている

 

昔に比べると、随分と難聴に対する理解も拡がってきてはいるのですが、それでも、まだまだ全然足りていない現状があります。

それは、聴覚障がいが、”見えづらい障がい”であるからです。

 

もちろん、難聴に関わったことがなければ、詳しく知らないで当然ですし、それを知らなければいけないわけではありません。

しかし、難聴の場合、誤解が多く浸透していたり、知らないがために不利益を被ることが多いという現状があります。

 

 

上図は、2010年のアンケートですが、「補聴器をつけていても会話を聞き取れるとは限らない」ことを知らなかった人が約4割います。

「聞こえないために日本語の読み書きを苦手とする人たちがいる」ということに関しては、半分以上が知らなかったと回答しています。

しかも、このアンケートに答えた人は、75%が、自分の周りに難聴の人がいた人たちです。

 

10年以上前のデータですが、今生活している感触としては、10年前と変わっていないという実感があります。

 

では、誤解や知らないということが、どのような状況を作っているのか見てみます。

 

差別経験ありと答えた人が9割弱

 

 

上図は、2016年のアンケートですが、差別経験ありと答えた聴覚障がいを持つ人が、何と87.3%もいたのです。

 

具体的にどのような差別を受けたのかを見ていくと、「いじめにあった」という直接的なものから、「配慮をお願いしたけど断られた」という配慮不足や、「補聴器をつけたら聞こえると思われている」という誤解なども含まれていますので、直接的な差別をこれほど多く受けているわけではありませんが、9割弱の方が、間違いなく不利益は受けている現状が見えてきます。

 

私自身、実際に無理解や誤解に直面したことがありますし、友人や家族会のメンバーからも無理解な対応、誤解された対応をされた話を何度か聞いています。

 

▼保育園や幼稚園で、聞こえないのでこうしていただけると助かりますとお願いしても、

「子どもはそんなものだ」

「優先順位がありますから、そこまで手が回らないと思います」

「聞く練習をした方がいい」

などと言われ対応してもらえないことがあります。

 

▼小学校では、発音がうまくできないことを、ほんの軽い気持ちで複数人からからかわれることもあります。

そもそも、発声は聞こえた音を声に出します。

難聴者は、音が歪んで聞こえる人が多く、歪んで聞こえていれば歪んだ音しか声にできません。

舌の位置や口の形などで正しい音を出す訓練もしますが、聞こえる人ほどスムーズには発声できないのです。

 

▼学校や職場などで、上手に話していると、

「本当は聞こえてるんだろう」と言われ、配慮のお願いをしても対応してもらえないこともあります。

 

▼職場では、文章間違いをしたときに、

「日本語だぞ?日本語がわからないのか?もっと本を読め!」と叱られ、能力が低いと判断されることもあります。

しかし、実は手話と日本語は全く別の言語で、手話を母語としている人にとって日本語は外国語です。

話し言葉はわかっても、文章を理解するのは非常に難しいものがあります。

決して能力が低いというわけではないのです。

 

そして、大阪では、2018年に大阪府立生野聴覚支援学校前の交差点に重機が突っ込んできて児童が亡くなるという事故がありました。

被告側は、亡くなられた当時小学5年生の女の子に対し、聴覚障がい者であることを理由に逸失利益(生涯の収入見込み額)の基礎収入を、聞こえる女性労働者の40パーセントとすべきと主張しました。

理由として、聴覚障がい者の思考力や言語力・学力は、小学校中学年の水準に留まるからだと述べています。

 

2021年にこの主張を取り下げてもらう署名運動が起こりましたが、これは、あり得ない誤解の最たるもので、このような主張をしてくること自体に強い憤りを感じますが、このような悲しいことが現実に起きているのです。

 

難聴は見えづらい障がい

 

聞こえないということは、周りからはわかりづらいです。

補聴器が髪に隠れていれば、見た目ではわかりません。

 

そして、「聞こえないんです」と伝えても、自分自身が全く聞こえない状況を作ることはできません。

歪んだ小さい音を聞く体験はなかなかできません。

聞こえない音を声に出せない経験もできません。

聞こえないけど、しゃべることはできるという経験もできません。

 

自分が耳をふさいだ状態ぐらいしか多くの場合想像できませんが、聞こえる人が耳をふさいだぐらいでは、「ちょっと聞こえにくいな」という程度です。

 

経験できないことというのは、想像するのが非常に難しいのです。

 

だから、「聞こえないんです」と配慮を求められても、求められた配慮がその人にとってどれだけ重要かがわからないことが多く、対応してもらえないという事態が多く起こっているのです。

 

解決するには?

 

Step1

★正しい知識を知ること

 

Step2

★聞こえづらさを体感すること

 

Step3

★話しやすいコミュニケーション方法を使っていくこと

 

の3ステップです。

 

正しい知識を知ることについては、

難聴がわかるアニメ「なんちょうなんなん」

を多くの場で発信して、正しい知識を広めている最中です。

 

そして、これは大きな一歩ですが、これだけでは変わりません。

「補聴器や人工内耳をつけていても、全部聞こえているわけではない」ということがわかっても、

では、どのくらい聞こえてないのかがわからなければ、最初に配慮ができても、段々と忘れていってしまうことが大半です。

 

だからこそ、聞こえづらさを体感することは非常に重要です。

これがあって初めて、「これは配慮しなければ」という自らの気持ちが生まれます。

 

でも、じゃあどうすればいいのか?

会話をすべて筆談していては、お互い嫌になってくるでしょう。

段々と配慮を忘れることもありますが、きつくてやめてしまうこともあります。

 

だからこそ、ちょっとした一手間でできる有効なコミュニケーション方法があれば、長続きするはずなのです。

それが、

聞こえづらくても話しやすくなる「プラス1コミュニケーション」です。

 

これを学校から企業まで多くの現場で広めていくことで、難聴の人と、普通に話せる人が増えていきます。

これが私たちが目指す、聞こえの共生社会の具体的イメージです。

 

もちろん、これだけでは、真の聞こえの共生社会にはまだ届きません。

しかし、随分と変わるはずです。

 

なんちょうなんなんで正しい知識を知り、

プラス1コミュニケーションができる人を増やしていく。

この活動を、言葉のかけはしは続けていきます。