行政への働きかけ

 

難聴の子を持つ家族会そらいろを2017年に発足して、家族の困りごとを吸い上げ、行政へ働きかけを行ってきました。

かけはしでも、行政への働きかけを、随時行っています。

 

 

2019年 福岡市で初の民間の児童発達支援施設立上げに寄与


2018年まで、福岡市は難聴児を見ることができる民間の児童発達支援施設がありませんでした。

ろう学校の幼稚部は、平日毎日10時~14時。

終わったら親が迎えに来る必要がありますが、この時間に迎えに行くとなると、フルタイムで働けません。

児童発達支援施設はあくまで療育をする施設で、子どもを預かる目的の場所ではありませんが、幼稚部が終わって、児童発達支援施設が子どもたちを預かり療育をしていくということができれば、親も仕事を続けられます。

仕事を辞めなければいけない状態であれば、家庭によっては療育を諦める必要も出てきます。

そんな中、福岡県議会議員の大田京子さんに相談しました。

本来これは福岡市の問題ですが、県議会で一般質問してくださり、知事から検討していく旨の回答をいただき、福岡県の担当部署から福岡市の担当へ働きかけていただき、実際に児童発達支援をやれるスケッチブックさんの協力も得て、福岡市の担当部署と話し合いの場を作っていただき、福岡市も難聴児については見落としていたと認めてくださり、2019年、児童発達支援スケッチブックが開業されました!

これで、親は安心して子どもを療育に通わせることができるようになりました。

大田さん、スケッチブックの梶本さん、県のご担当者の方、市のご担当者の方、本当にありがとうございました!

 

2020年 福岡市の加配制度における聴覚障害の判定基準変更を実現


2020年に、福岡市で、子ども・子育て審議会というものがあっていて、傍聴に行きました。メインは、医療的ケア児についてでしたが、障害児保育を見直していました。

その中で、加配保育士さんをつけてもらうための判定基準の見直しがされていて、当時、4級以上でしたが、6級以上で見直し案が出されていました。

難聴児に関しては、手帳が取れないけど、聞えずに困る子が本当に多くいます。聴覚障害の手帳基準があり得ないほど高いのです。

そこで、市の担当者に終わってから、このことを話し、一度これについてお話しさせてもらいたいと時間を取ってもらいました。

そこで手帳を持ってない難聴児でも加配保育士さんが必要だということを話させてもらい、次の審議会で、

「6級以上、又は補聴器や人工内耳をつけている子は対象とする」

と、一文を加えていただきました!

これは、部署内でも賛否両論あったようですが、僕の話を受け止めて頂きました。ありがとうございます。

しかしながら、この後、この障害児保育制度、福岡市ではさぽ~と保育という名前に変わりましたが、「さぽ~と保育を・・・」と言うと、園から嫌な顔をされる保護者が続出します。

難聴だけではなく他の部分も見直して、これを利用する人が増えたようで、園としては、そんなに手間をかける人員はいないとなってしまったようです。

その辺のフォローや受け入れられる体制づくりなどももちろん必要です。

せっかくの制度、良い方向へ改善していってほしいと思います。

2024年 福岡市小中学校 合理的配慮の提供として要約筆記等対応を実現


小学校でビデオ学習があり、それが随分音が悪く、MAXにしても聞こえない、音声文字変換アプリも文字化できない状況だったことがあり、福岡市の発達教育センターに要約筆記を依頼したいと相談しましたが、要約筆記の予算を取ってないのでできないと言われました。学校から言ってもらっても、学校の予算も使えないと言われます。毎年教育委員会で予算折衝を行っていて、そこで予算を取れないと使えないと言われたので、取ってくださいとお願いをしましたが、結局1年がかりで「取れなかった」と報告されました。自治体は2016年から合理的配慮の提供は義務化されているのに、どう考えてもおかしいと思い、福岡市議会議員の新開ゆうじ議員に相談しました。発達教育センターに確認してもらうと、やはり同じ見解で、新開さんも、予算をとってないはずはないと思うんですが…とのことでしたが、これは一般質問した方がいいと言ってくださり、一般質問で取り上げて頂きました。

一般質問で取り上げてもらい質問内容をやり取りすると、発達教育センターの回答が全く変わってきていて、再度確認すると、どうも予算は使えたよう。この辺は、担当者が間違ってたのか、部署として軽く見ていてまずいということになったのかはわかりませんが、以前頼んで使えなかったのは、誤りだったという見解。

2024年6月17日の福岡市議会で新開議員が「通常の学級に通う難聴児への合理的配慮について」ということで質問してくださり、石橋教育長が、「要約筆記の個別の予算は取ってないが、要望があれば、発達教育センターの一般予算を使って、都度対応していく」と答弁していただきました。これで、福岡市では、観劇や6年生送る会、ゲストティーチャー、イベントなど、要約筆記や手話通訳が使えるということになります!

新開議員、本当にありがとうございます!新開さんは、質問の持ち時間、ほぼほぼ全てを使ってこの質問をしてくれました。

他地域でもこの事例をもって交渉できると思います。自治体は義務化されて8年も経ってるんです。

無茶苦茶を言ってるわけではありません。情報保障のために必要な正当で自然な措置です。